hanashi-no-institute.com - 話の研究所、Institute of Communication、コミュニケーションを考える、杉山雅夫、Masao Sugiyama

Description: コミュニケーションを考える

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コミュニケーションを考える

例えば、「今日は天気がいいですね」という言葉を我々はどう受け止めるでしょうか。知らない人であれば、その人が私に天気の情報を与えているのではなく、私と話をしたいのだと理解するでしょう。知人であれば、従来の関係の繋がりを確認し、それを継続する意思があるということを我々は無意識に理解します。そしてその人がどのようにその言葉を言ったのかに関心を向けます。機嫌がいいのか、不機嫌なのか、あるいは嫌々言っているのか。それによって我々は、新たにその人と関係を築き上げてゆくのです。我々は自分を正当に評価してくれる相手に対しては心を開くことができます。しかしそうでない相手に対しては身構え、心を閉ざします。 こうした状態で我々は話し合いを継続することはできません。

また話し合いとは、一つの自己検証の場です。話をする中で人々は世界と関わり、世界と対峙します。それは一つの冒険でも有り、試練の場でもあります。一人の世界は存在しますが、その中で我々は確信が持てません。それはこれまでの知識に過ぎず、実体はもやは記憶の中にしか存在しないのです。人と関わることによって世界は再び 客観的なものとして 存在し始め、出現するのです。人は多くの場合、これまでの経験によりすでに知っている対話者とはどのように話が展開するのかを予測しています。しかし対話は決して同じように展開することはないのです。同じ言葉でも状況が違えば、意味も異なってきます。全く同じ状況が繰り返されることは不可能です。