balladtalk.com - やまなか みつよしのバラッド・トーク - バラッド詩とは

Description: 「バラッド」は古くから英語圏に伝わる物語歌で、その不思議な物語の世界に皆さんをご案内したいと思います。物語の内容に興味を持たれて、元々の原文を読んでみたいと思われる方には原詩を、原文はちょっと難しいので訳で読んでみたいと思われる方のために訳詩も用意しています。

英国 (121) 物語 (33) 不思議 (26) 伝承 (14) バラッド (3) バラッド詩 (2) 口承 (2) やまなかみつよし (1) 山中光義 (1) 口頭伝承 (1)

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古くから英語圏に伝わる「伝承バラッド」の世界を100回にわたって紹介してきましたが、これを一区切りとして、第101話からは「バラッド詩」と呼ばれる物語詩の世界について書いてゆきたいと思います。

「 バラッド詩 」とは、一言で言えば「詩人が伝承バラッドを模倣した作品」ということになりますが、なぜこのような特殊なジャンルの作品が生まれたのでしょうか。民衆の間に伝わっていた純粋な口承バラッドや「ブロードシート」と呼ばれた新聞紙タイプの紙に印刷して売られていた「ブロードサイド・バラッド」の蒐集・出版が18世紀になって盛んになり、それとともに民族の遺産としてのバラッドの存在に多くの詩人たちが注目するようになって、自ら模倣詩を創作するということがブームになりました。ところがそれは一時的なブームに終わらず、なんと今日まで綿々と続いてきたのです。

詩人たちが伝承バラッドの何に惹かれてきたのでしょうか。ある詩人はその素朴な形式そのものが持つ可能性に惹かれ、ある詩人は不思議な物語世界が伝える人間の想像力の特異性と無限性に惹かれる等々、実に様々な理由が考えられますが、18世紀以降今日までほとんどすべての(と言って過言でない)詩人たちが模倣詩を残しているのです。それはもはや「模倣」という受動的な創作の域を脱して、各詩人独自の詩の世界を生み出しています。