nanolc.net - Hiroshi Yokoyama's Opinion

横山浩 hiroshi yokoyama (2)

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<異様に少ない女性研究者> 平成17年度版の男女共同参画白書 は、科学技術における男女共同参画を大々的に取り上げている。資源小国の日本は、科学技術立国を国是として掲げ、知識ベース産業社会の実現を目指しているものの、皮肉なことにその要とも言うべき研究開発を担う人材ストックは、少子化と理科離れという二重苦にあえいでいる。今日の状況を放置すれば、近い将来に大幅な人材不足に陥ることが予測されており、その打開の切り札の一つと目されているのが、眠れる人的資源、すなわち女性の活用なのである。

日本の総研究者数は現在約83万人(2005年)[1]であり、これは労働力人口 1 万人当たり129 人 に相当する[2]。1980年には、今の半分の 1 万人当たり64人(総数約36万人)[3]であったが、毎年右肩上がりで増加し今にいたっている。現在では働く人100人に1.3人が研究者という、まさしく研究大衆化の時代に突入している。1980年以降増加した47万人に上る研究者の実に7割は、産業界が創出した新規雇用であり、このことは我が国が知識ベース産業社会に着実に近づいていることを物語っている。産業界のなかでも研究者の大半を抱える製造業だけに限れば、従業員10人のうち1人が研究者となっている。

研究者の質・量両面での更なる向上が求められるなかで、少子高齢化、人口減少、理科離れに抗して、このトレンドをどこまで維持できるのだろうか。我が国の研究者のうち女性研究者が占める割合を見てみると、過去10年にわたって僅かずつ増加してきているものの、ようやく11.9%に達したに過ぎない[図1]。全産業でみると、女性就業者が少なくとも数の上では40%を占めることを考えると、11.9%という数字は、科学技術が、突出して女性進出が遅れた分野であることを示している。 図1.研究者数の年次推移と女性比率 平成17年科学技術研究調査 より作成 国際的にもこのことは明らかで、米国(33%)、イギリス(26%)にも遠く及ばず、先進工業国では最下位と言ってよい惨状である。女性の労働力率が46%(就業者の女性比率は約30%)と、日本よりも女性の社会進出で遅れているイタリアでも、研究者の28%が女性であり、他の分野と同等の水準にある。つまり、イタリアでは研究も普通の職業なのに、我が国では研究は女性が参入しにくい(したくない)特殊な職業なのである。ちなみに、職業としての研究の特異性指数を、RA=1-(研究者における女性比率)/(全産業にお

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